私たちはしばしば、好奇心を刺激するようなクリックベイト(釣りタイトル)に引っかかり、特定のウェブサイトへ誘導されてしまいます。そして時には、有名人にそっくりな人物が魔法のように現れるクイズもあるでしょう。クリックベイトのほとんどが表面上、何も害はないように見えますが、中にはクリックして接続すると、デバイスに危険なマルウェアをインストールしてしまうものも存在します。
2021年に警視庁が実施した治安に関するアンケートでは、サイバー犯罪に遭う危険性について「不安を感じる」、または「ある程度不安を感じる」と答えた人が全体の約8割に上るなど不安感も高まっており、オンライン上での犯罪が一般社会にも広まってきています。
Better Business Bureauによると、時事問題や文化的な傾向を利用したクリックベイト詐欺があるそうです。詐欺の追跡調査を行っている同団体は、個人情報の提供を要求してくるニュースやリンク、ポップアップに注意するよう消費者に警告しています。詐欺によっては、間違ってクリックした結果、Eメールやスパムテキストが大量に送られてきたり、悪質なデータマイニングが実行されたり、電話代が毎月請求されたりなどが発生する可能性もあります。そして、クリックベイトは一見無害に見えてしまうので、そのリスクを理解しないでしばしば友人と共有してしまうという隠された罠があります。
批判的思考vs衝動
クリックベイトは心理学に依存しています。オンライン上にいる悪質な犯罪者達は、人は生まれつき好奇心が強いとうことを知っているます。彼らはそれをうまく利用して、できるだけユーザーの興味に近い情報を示して、楽しませようとしてきます。Wiredの人気記事によると、私たちが共通してクリックベイトに親近感を覚えてしまうのは、日々の選択において感情が果たす役割と怠惰な脳が原因とされています。Wiredのサイトによると、私たちはオンライン上で自分が興味のある情報を得たいがために、非現実的だとわかっているにも関わらず、ついつい注意を怠ってクリックしてしまいがちになるといいます。
このような習慣を変え始めることと、それを子供たちに教える1つの方法としては、批判的思考を呼びかけ、デジタルリテラシーの能力を強化することが大事です。批判的思考とは、単にクリックする前に一旦立ち止まるだけではなく、状況を理解することが大事です。そして、コンテンツの提供元の目標や動機、課題、意図に対してしっかりと観察してウェブサイトやアプリを利用するようにしましょう。
また、以下のような疑問について確認してみるのも良いです。
- このリンクはどこに遷移するのか?
- このアプリやリンクの目的は何か?
- このリンクを送ってきた人は知り合いなのか?
- この人物やアプリ、ウェブサイトは、私に何をするよう求めているか?
- このリンクの先にはどんな危険があるのか?
クリックベイト対策
デジタルの世界と私達が歩んでいく道筋は、悪意のある地雷が散乱しています。これらの詐欺に遭わないためには常に知識を身につけて、防御策を積み重ねることが重要です。こちらでは、クリックベイトというデジタル詐欺に遭わないための方法を紹介します。
騙されない
特別なものや過激なもの、または「何が起こったかわからない」ようなコンテンツや映像を宣伝している見出しをクリックしないようにしましょう。とんでもない話やゴシップの匂いがする場合は、詐欺の可能性があります。
デバイスの保護を二重にする
インターネット上のコンテンツを24時間365日分析できるような帯域幅を持つ人はほとんどいません。マルウェアやウイルスから身を守るには、包括的なセキュリティソフトの導入を検討しましょう。
スミッシングを避ける
SMSなどテキスト経由で送られてくるクリックベイトはスミッシングと呼ばれており、ゴールデンウィークや年末年始など長期休みの期間に急増する傾向があります。このリンクには有名ブランドの販売店が表示されたり、休日プランの存在を知らせたり、融資の申し込みを促したりすることがありますので、決してクリックしてはいけません。もし、クリックしてしまったり、詐欺被害に関して心配の方は、日本データ通信協会の迷惑メール相談センターのウェブサイトに各相談内容毎に情報がまとめられているので問い合わせてみましょう。
怪しいリンクは避ける
リンクをクリックしたり、アンケートに答えたり、ほしいコンテンツにアクセスするために余計なプラグインをダウンロードするように促す不審なウェブサイトは避けましょう。また、オンライン上で閲覧する際は、URLのHTTPSの「S」があるかどうかを確認してください。この「S」は、そのウェブサイトがセキュリテイ面が安全であることを意味しています。
個人情報を提供しない
個人情報や銀行の詳細情報を見知らぬウェブサイトに提供したり、パスワードを業者やサイトに共有したりしないようにしましょう。
リンクの上にカーソルを合わせない
もし、リンクの上にカーソルを合わせてしまうと、そのウェブアドレスがポップアップ表示され、見知らぬウェブサイトへ誘導される可能性があります。
誰も信用しない
今日、悲しいことに友人からのEメールやダイレクトメッセージ、投稿、テキストでさえもハッキングされている可能性があるため、信用することができません。悪質な犯罪者達は、身近な情報を会話の中に紛れ込ませることで、すぐに信頼を得られるような個人的な方法でコンタクトを取ってこようとしてきます。ニュース項目、景品、チャンスなどのリンクを「いいね!」したり、共有する前に一度立ち止まって検討するようにしましょう。そのリンクを貼ったりおすすめしたりしたのは、あなたの友人ではないかもしれません。
コンテンツを選ぶ
「ニュース」の一部の見出しに同意したり、怒ったとしても、必ずしもそれが真実であるとは限りません。悪質な犯罪者達は経験が豊富です。政治的分裂や世界的な惨劇を悪用して、クリックせざるをえないようなクリックベイトを仕込んで、恐怖心を利用するでしょう。この手口は、人々が感情的になってそのストーリーを他の人と共有したくなるように仕向け、詐欺の被害を拡大させます。スペルミスやデザインの悪いウェブサイト、URLのスペルミスがあるサイトには気をつけるようにしましょう。
もし、 何か表示が正しくなかったり、見出しの情報が気になる場合は、共有する前に一度立ち止まって、信頼できるニュースサイト等で情報を確認するなど、調べるようにしましょう。
オンライン上には、悪質な犯罪者達、デジタルな雑音、サイバートラップがいたるところに存在します。しかしながら、家族のオンライン上の安全性に対する意識が長期的に習慣化することで、オンライン上の犯罪者達は排除され、私達みんなが楽しめる素晴らしい空間になることでしょう。